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20世紀に「3DCGへ挑戦した」映画の名作たち

20世紀に「3DCGへ挑戦した」映画の名作たち

現在の映像制作の世界では、ごく一般的な手法として定着しているCG(コンピューター・グラフィック)。

1960年代初期に発明されてから、すでに60年近い時間が経過しているが、近年のテクノロジーの進化は目覚ましく、これまでもクリエイターたちによってさまざまな挑戦がなされてきた。

前回、日本では家庭用ゲーム機の発展と共に2DCG(海外でいうドローイング)に焦点が集まり、ドット絵が人気を博したことを紹介した。一方で、海外ではCGといえば3Dのことである。今回は、海外の事例を中心に、20世紀に果敢にもCGへ挑戦した映画の名作を簡単にではあるが振り返っていきたい。

トロン(1982)

世界ではじめてCGを全面的に使用した記念碑的なSF映画。

ディズニーが配給しており『バットマン』や『チャーリーとチョコレート工場』の監督として知られるティム・バートンもアニメーターとして参加している。

15分286カットでフルCGシーンが使用されているが、当時のコンピューターの計算速度の遅さと製作コストの高さから、スタジオでは大変な苦労が強いられ、ほとんど手書きのアニメーション制作と同じようなアナログ的手法が用いられていたそうだ。(それでは3DCGの大きなメリットの一つが享受できないわけだが)


(トロン/予告編)

インターネットの先駆者であり「CGの父」とも呼ばれる、アメリカの計算機科学者IE・サザーランドがCGを発明したのは1960年代のこと。そこから20年余りが経過しているが、まだこの時代では課題も多く、動画を見ても暗中模索の状態であったことが見てとれる。

また、新しい技術に対する無理解と偏見も多く、作品は人気を博したもののアカデミー賞の審査では「CGの使用は卑怯」との声からなんと“失格”になっている。

ゴルゴ13 劇場版(1983)

世界で初めて劇中に3DCGを使ったアニメ作品は、なんと日本漫画の名作「ゴルゴ13」である。

宣伝文は「世界を揺がす!超A級の興奮が襲いかかる!初のコンピュータ・アニメが出現!未知の映像で描く1500万ファン待望のアクション超大作!」とCGではなくコンピュータ・アニメと表現している。実際には、トーヨーリンクスに所属していた大村皓一と御厨さと美によって手掛けられた3DCGが使用されている。

ただし、全編が3Dで展開するようなことはなくヘリコプターのシーンなど一部にとどまり、他はセル画による旧来のアナログ的手法にとどまっている。

現代の目で見るとさすがにチープに映ってしまうが、当時としては最先端のCG技術が活用されていた。日本ではこのように3DCGは影の表現や色数、質感などから「違和感がぬぐえない」という見方が多く、2Dの手法に人気が集まり、3Dが一般的になるのはだいぶ先まで待たなくてはならなかった。

トイ・ストーリー(1995)

ピクサーによるファンタジー・アニメの名作『トイ・ストーリー』は、世界初のフル3DCGアニメーション映画としてCGの歴史においてもその名を残している。

1980年代後半、ディズニー制作の『リトルマーメイド』『美女と野獣』においてもCGの技術が用いられていたが、それは映画の中の「一部のみ」にとどまっていた。

1990年代に入ると、映像と映像の間をスムーズにつなげて変化させる「モーフィング」と「デジタル合成」の技術が発達したことで、現代のCGシステムおよびVFX(視覚効果)の基本的な技術が完成した。

『ターミネーター2』(1991)、『ジェラシック・パーク』(1993)といった実写映画のジャンルでCGシーンの使用が本格化されることになり、ピクサーがその流れを引き継ぎ、81分すべてをCGによって製作した『トイ・ストーリー』が1995年に公開された。


(トイ・ストーリー/予告編)

興行的にも大きな成功をおさめた本作の登場がきっかけで、以降は多くのフル3DCGアニメーションが増産されるようになった。

タイタニック(1997)

それまでSFやアクション映画に限定されていたCGの活用がさまざまなジャンルに広まっていったのは、ジェームズ・キャメロン監督のこのラブロマンスの名作によるところが大きい。


(タイタニック/予告編)

主演のレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットに注目が集まるが、実はCGがふんだんに使用されている。

豪華客船タイタニックのセットは実際に組み上げたものだが、経費削減のために完成の後「7mごとに分断されていて」CGによってつなぎ合わせている。

また、予告編では確認できないが、ミニチュアで撮影された船の全体像が映るシーンにおいて、船上の人物たちは全てCGで作られた人物で再現されている。

本作以降、CGによってより作品的に深みを持たせる表現が探求されるようになる。かつて『トロン』ではCGを忌み嫌ったアカデミー賞でもCGを全面的に使用した作品が、数多く作品賞および視覚効果賞を受賞するようになった。

また、現在ハリウッドをはじめとする数多くの映像制作会社で使用されている合成ソフトウェア「Nuke」は、『タイタニック』のVFXを手がけたDigital Domain(デジタル・ドメイン)社が開発したノードベースのコンポジットツールをベースとしている。

21世紀も間近のこのころになると、もう3DCGの違和感はなくなっている。

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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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