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振り返っても立ち止まるな。失恋から這い上がる映画1選

振り返っても立ち止まるな。失恋から這い上がる映画1選

ラクビーの盛り上がりに乗じて、先月振られた人にもう一回告白したところ、見事玉砕しました。本当にノットリリースザボールでした。

プロデューサーの美谷島です。

玉砕直後の世間はクリスマスシーズン真っ只中。街中のカップルはとても楽しそうです。私の悲しくてやりきれない気持ちは増幅していきました。

そんな時、男は黙って映画だ映画。家にストックしてあるDVDを観ても、どの映画にもhappyでsweetな恋愛要素が入っているなんてこんな世の中はpoison。

うおーーー俺にビクトリーロードは無いのか!!!

時は深夜4時。

闇深し四畳半絶望の縁から俺を蘇らせてくれたのが「おもひでぽろぽろ」。

全振られたての男女に告ぐ、大丈夫この映画は俺達の味方だ、安心してくれ。

映画自体は、主人公20代半ばのタエ子が休暇を利用して田舎に行って云々かんぬんのよくある話なんだけど、まずタエ子が致命的に可愛くない。そして題名のごとく、「私が小さい頃は……」「あの頃は良かった……」とか今の出来事に対し、何かにつけて昔を回想しだす懐古厨ときた。

特に現在に不満を持っている時、他の人であったり物であったりと何か別のものと比較したくなることはよくあること。その中で一番手っ取り早いのが過去。過去は誰にも邪魔されないし、時間とともにどんどん美化されて、思い違いだって自分のいい方に修正しちゃうから振り返りだすと止まらない底なし沼だ。

ああ、12月冬真っ盛りの北海道へ行き、雪まみれになった僕たちを君は「あ、これが本当に白い恋人たちってやつだね」なんて言ってくれたことがあったっけか、その後、まさにお菓子のように甘い夜が二人を待ってい……

このように深入りし過ぎると、過去は一度ハマると脱げ出せないドラッグと化してしまう。でもこのメインヒロインであるタエ子はドラッグから這い上がる。いや、過去を含まった自分、ドラッグまみれの今ここにいる自分こそ私だと走りだす。(※本編はドラッグなんて一切出てこない健全なジブリ映画です)

それを象徴させる、後半今まで昔話おばさんだったタエ子が、過去に後押しされて現在へ駆け抜けていく展開は熱すぎて、もはやタエ子に恋する5秒前だ。

だからいつまでもそんな負の感傷促進ノスタルジーに浸ってはだめだ。とりあえず札幌時計台の前で撮ったはにかみツーショット写真から手を離すんだ美谷島諒!

思い出は捨てなくてもいい、たまに振り返ってもいい。だけど決して立ち止まるな。過去なんてどこにもないし、未来なんてのもどこにもない。あるのは今だけだ。

拝啓、この文章平然と書いているように見えておれは既にボロ泣きで、もうパソコンの画面が見えないよママ。

さあみんな、この胸に深々と突き刺さる失恋という長く鋭い矢を今こそ引き抜き、立ち上がれ。

今ここからがスタートだ。

だからおれは来月街コンへゆく。第三のモテキを夢見て。

この記事を書いた人

美谷島諒
エレファントストーンのプロデューサー

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