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第31回東京国際映画祭へ行ってきた。

第31回東京国際映画祭へ行ってきた。

前回の【絶賛開催中】東京国際映画祭って何?では、東京国際映画祭の概要を取り上げました。

それだけでは会場の生の空気感は伝わりづらいですよね……。というわけで、実際に行ってきました!

ファッション映画4本が5000円!

私がチケットを購入したのは2018年10月26日(金)の夜の回である「ミッドナイト・フィルム・フェス!」。WOWOW映画工房「ファッション・ドキュメンタリー・セレクション」 in 東京国際映画祭と題されていました。

公式サイトに記載されている作品解説は以下の通り。

WOWOWの映画情報番組「斎藤工×板谷由夏 映画工房」出演者とゲストによるトークショーの後に、ファッションドキュメンタリー4本をオールナイト上映。

 

『クリスチャン・ディオール 華麗なるモードの帝国』
監督:マイケル・ウォルドマン
出演:ベルナール・アルノー、マリア・グラツィア・キウリ、ベラ・ハディッド
世界的トップブランド、クリスチャン・ディオールの創立70年を記念して制作。初の女性クリエイティブ・ディレクターとなったマリア・グラツィア・キウリによる、パリコレの舞台裏にも密着。
98分 カラー 英語 2017年 イギリス
©Finestripe Productions

 

『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』
監督:ライナー・ホルツェマー
出演:ドリス・ヴァン・ノッテン、アイリス・アプフェル、パメラ・ゴルビン
世界のファッション勢力図を塗り変える企業買収の嵐などの苦難を乗り越えながら唯一無二のブランドを牽引することで、“孤高のデザイナー”と呼ばれるようになった天才、ドリス・ヴァン・ノッテンの公私に迫る。
94分 カラー 英語 2017年 ドイツ、ベルギー
©2016 Reiner Holzemer Film-RTBF-Aminata bvba-BR-ARTE

 

『メットガラ ドレスをまとった美術館』
監督:アンドリュー・ロッシ
出演:アナ・ウィンター、アンドリュー・ボルトン、バズ・ラーマン
NYのメトロポリタン美術館で毎年開催され、超一流のセレブが多数集まって盛大に開かれるファッションの祭典“メットガラ” の舞台裏に密着。企画の中心で活躍している、雑誌「VOGUE」の編集長アナ・ウィンターなども登場。
91分 カラー 英語 2016年 アメリカ
©2016 MB Productions, LLC

 

『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』
監督:マイケル・ロバーツ
出演:マノロ・ブラニク、アナ・ウィンター、リアーナ
ドラマ「SEX AND THE CITY」や映画『マリー・アントワネット』などでも美しい靴の数々をデザインした、ファッション界のレジェンド的存在、マノロ・ブラニク。彼の半生や知られざる素顔とは。
90分 カラー 英語 2017年 イギリス
©HEELS ON FIRE LTD 2017

価格は5000円、1本あたりが約1200円とお得です。詳しい解説は後ほどします。

東京国際映画祭の会場はどんな感じ?

第31回東京国際映画祭レポート

私が行ったのはTOHOシネマズ 六本木ヒルズ。開始時間の21時には間に合わなかったのですが、いい意味で想像以上にゆるくまったりとした時間を過ごすことができました。

まず意外だったのが、チケットチェックがなく途中からはほぼ出入り自由なスタイルだったところです。

予約した時点で空席は”残り1”……。さぞ満員だろうと思っていたのですが、実際はみんな観たい映画だけを観るので、終電以降は空席も多く好きなように鑑賞している人が目立ちました。自分の席には他の誰かが座っていたので、空いていた、より良い席で鑑賞しました(笑)

音楽フェスに行った経験のある方は分かるかと思いますが、あのイメージに近いです。つまり、興味のない映画の間や休憩時間は、ご飯を食べたりお茶を飲んだりとロビーで休む人たちが目立ちます。

ちなみに今回はファッション映画ということもあり、「ドット柄」というドレスコードのようなものが設定されていました。実際、それに沿った方が多かったように思えます。

また、その向かいはサッカー映画特集、さらに斜め向かいは『パディントン2』が上映されていました。

第31回東京国際映画祭レポート

深夜になると電気もほぼ落ち会場内も暗く、独特のムードが漂っていました。昼間ならば目立つであろうミニオンもこの通り。

ファッション・ドキュメンタリー・セレクションってどんな作品群なの?

まず、映画開催に先立ち19時からは「FASHION GALA ~BEAMS ROPPONGI HILLSと GQ JAPANで創る大胆素敵なファッションショー~」として、ファッションショーが行われました。

その後にトークショー~映画公開という流れです。映画のタイトルだけ見ても「何のこっちゃ?」と思う読者も多いと思いますので説明をしますと、ファッション、それもパリコレに出ているようなハイエンドなファッションについて取り上げた4本の作品となっています。

第31回東京国際映画祭レポート

例えば、ドリス・ヴァン・ノッテンは「アントウェルペンの6人」のうちの1人で、その通り名の通りアントワープ王立芸術学院出身。1980年代後半に6人共同で「The British Designer’s Show」をロンドンで開き、後に自身のブランド「ドリス・ヴァン・ノッテン」でパリコレに進出するようになりました。

ドリスの特徴はエスニック、フォークロアと呼ばれるような民族的な柄にあります。また、スカーフやマフラーといった類を得意としており、本作品でもインドの職人による手仕事を重要視するシーンなどが撮影されていました。

アントウェルペンの6人、それに加えて同じ学院卒のマルタン・マルジェラを加えた7人は世界的なデザイナーとして著名になりましたが、現在ではアン・ドゥメルメステールら多くのメンバーが活動をしていません。そうした中でドリスは意欲的に製作を行っています。

実は私自身がパリコレに出るような洋服が好きで、今回出てくるようなブランドも買える範囲内で所持しています。

しかし、こうした作品やファッションは普段あまり需要がない(失礼)ため、伊勢丹新宿店、三越銀座店、バーニーズニューヨークなど限られた場所でしか見ることができません。また映画も下北沢で少し上映されていましたが、観に行けずに悔しい思いをした記憶があります。

今回は1日で、そうした作品群の4本を鑑賞できたというのがお得なところです。

ちなみに一番面白かったのは、正直なところあまり期待をしていなかった『メットガラ ドレスをまとった美術館(原題:The First Monday in May)』。NYのメトロポリタン美術館が年に一度、活動資金を集めるためのチャリティーイベントを行っているのですが、そのイベント製作までの道のりを追ったドキュメンタリーです。

映画内でのテーマは『鏡の中の中国』。そのテーマに沿ってサンローランらビッグメゾンの過去のコレクションから衣装を拝借したり、「外国人から見た中国」という湾曲された見方(日本人が海外から富士山芸者忍者と思われているような)をする部分でのセンシティブな点の対応までもが取り上げられます。

どの作品もその題材に対して真摯で綿密な取材に基づいた、海外のドキュメンタリーによくみられるスタイル。一方、各セレブが出てきて賞賛コメントを述べる、といったストーリーですので、実は4本ともに一部同様の出演人物がいてリンクする点があります。

東京国際映画祭は11月3日(祝)まで

今回、東京国際映画祭へはじめて行ったのですが、“映画オタクのための祭典”というよりは幅広く映画を楽しんでもらう姿勢を感じられ、非常にリラックスした時間を過ごすことができました。クライマックスはこれからですので、ぜひ気軽に遊びに行ってみてはどうでしょうか? デートにもおすすめですよ。

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

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