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映画『教誨師』が話題、教誨とは何?

映画『教誨師』が話題、教誨とは何?

©「教誨師」members

「教誨師」という職業をご存じだろうか? 故大杉漣プロデュース・主演の遺作であり、佐向大が監督・脚本を務めた映画『教誨師』で今ふつふつと話題になっている。

10月6日から随時公開がスタートし、11月27日現在はアップリンク渋谷などで上映されている。

教誨とは?

教誨はあまり聞きなれない言葉だろう。龍谷大学が映画のヒットに合わせてプレスリリースなどでPRしていたので、それらをうまく要約しつつ簡単に説明しよう。

教誨とは、「教えさとすこと」。例えば、道徳的な話、倫理的な話も教誨活動である。教誨師とは、英語ではチャプレン(chaplain)と呼ばれており、聖職者ではあるが教会ではなく施設などで働く者を指すという。

この映画でいえば、死刑囚のような被収容者(受刑者、被告人、被疑者、死刑確定者など刑事施設に収容されるすべての人)の徳性の育成や精神的救済を目的として行われる活動、だそうだ。

この活動、実はボランティアである。

教誨には一般教誨と宗教教誨があるのだが、第二次世界大戦後は法律で信教の自由を保障したかわりに、国およびその機関の宗教的活動を禁じる(第20条)。国の施設である刑務所の職員は宗教的な教誨活動に携わることはできず、多様な宗派の宗教家がボランティアで行っているのだそうだ。

実は、かつては公務員であり1908年制定の『監獄法』により、施設に2名宗教教誨を行うことが義務付けられていたのだというから驚きだ。

映画では主演の大杉漣が6名の死刑囚と語らいを行う。ほとんどの場面は教誨のシーンであり、刑務所内の境界室という場面で作られているのが映像的な特徴となる。

当然、予算は抑えられるが、一方で簡素な部屋、しかも刑務所の一室でそこに「ドラマ」を作らなくてはならないわけで、すべては役者の演技にかかっている。黒沢清氏が「日本映画の俳優はつくづく層が厚いなあと思った」と語った通り、故大杉氏が生前に伝えたかったものを迫真に演じている。

映画『教誨師』全国順次公開中!

出演:大杉漣 玉置玲央 烏丸せつこ 五頭岳夫 小川 登/ 古舘寛治 ・ 光石 研
エグゼクティブプロデューサー:大杉漣 狩野洋平 押田興将
プロデューサー:松田広子
撮影:山田達也
照明:玉川直人
録音:山本タカアキ
美術:安藤真人
監督・脚本:佐向大
製作:TOEKICK★12 ライブラリーガーデン オフィス・シロウズ
2018年/日本/カラー/114分/スタンダード(一部、ヴィスタ)/ステレオ
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
宣伝: VALERIA、マーメイドフィルム

※古舘寛治の舘は舎に官が正式表記


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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

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